「スタバなんて、どこも同じじゃないの?」
もしあなたがそう思っているなら、この記事は少し刺激が強いかもしれません。
全国に2,100店舗以上展開するスターバックス。そのうち約15%にあたる300店を自らの足で歩き、カウンター越しの景色を眺めてきた私が行き着いた結論。それは、「ただのカフェ」を越え、その場所に身を置くこと自体が目的となる『目的地(デスティネーション)』としてのスターバックス、名付けてデスティネーションスタバの存在です。リージョナルランドマークストアに止まらないわたしが思うベストなリストを公開します。
作業効率爆上がりの神スタバ10選という記事ではカフェでの「機能的価値」を分析しましたが、今回は真逆のベクトル——「情緒的価値」と「空間の格」——に振り切った10店舗を厳選しました。
キーワードは、「奥行き」と「本物の質感」。
フェイク(風)ではない、歴史が刻んだ重層的な空気感。視線が無限に吸い込まれるような借景。それらに震える体験ができる場所だけを綴ります。単なる”おしゃれ”なスタバ、”雰囲気のよい”スターバックスにとどまらない、本当に行く価値のあるスタバ、わざわざスターバックスに行くために旅をしたくなるリストです。
【比較表】空間の格・奥行き・質感を味わう究極の10選
これがわたしの、わざわざ行きたいスターバックス、一生に一度は行きたい”わざわざスタバ”のおすすめ店舗とと時間帯リストです。
| カテゴリ | 店舗名 | 特筆すべき「質感」と「奥行き」 | おすすめの滞在時間 |
|---|---|---|---|
| 歴史の重層 | 鹿児島 仙巌園店 | 1904年築の重厚な洋館と桜島の借景 | 午前中の澄んだ空気 |
| 道後温泉駅舎店 | 明治の駅舎が奏でるレトロな窓辺の静寂 | 土日の坊ちゃん列発車タイム | |
| 弘前公園前店 | 仕事もできる最適な歴史的日本家屋の陰影 | 平日の午後 | |
| 京都 二寧坂ヤサカ茶屋店 | 畳と「鰻の寝床」が生む圧倒的な没入感 | 開店直後 | |
| 水辺と抜け感 | 富山環水公園店 | 運河の水平線が拡張する無限の開放感 | 昼下がり |
| 北海道 函館ベイサイド店 | 夕方の水面に映る夕陽は最高。テラスで! | 夏の夕暮れ | |
| 北海道 釧路鶴見橋店 | 道東の乾いた風と釧路川の雄大な流れ | 夏の夕方 | |
| 都会の聖域 | 新宿御苑店 | 500円で手に入れる、池と芝生の広大な余白 | 朝9:00(開園直後) |
| 川越鐘つき通り店 | 小江戸の街並みの奥にある庭園をテラスで堪能 | 気候の良い日の午前中 | |
| 横須賀コースカ店 | おおらかな店のつくりと海へ抜ける視線 | 晴天の日 |
1. 【歴史の重層】明治・大正・昭和の息吹が宿る「本物」の空間
現代によくある和風”風”なデザインや建築では決して出せない、時が刻んだ「本物の質感」を感じられる、次世代にわたって大事にしていきたい店舗がこちらです。それぞれの店舗の重厚感は、おしゃれスタバ、とは畏れ多くて呼べません。もともとある雰囲気や素材を大事に現代にアレンジした店舗はすべて、リージョナルランドマークストアに指定されています。
鹿児島 仙巌園店(登録有形文化財)

仙巌園店は、1904年築の旧島津家金山鉱業事業所だった建物です。ここは「伝統を模した」場所ではなく、明治の息吹がそのまま残る本物の洋館です。幕末に強大な力を持っていた島津の息吹がここで感じられます。

特筆すべきは、窓枠の細工越しに眺める桜島。建物が持つ重厚なダークウッドの質感と、外に広がる火山の圧倒的なエネルギー。この内と外の「コントラストの奥行き」と、歴史の重みが落ち着く空間を作っています。
愛媛 道後温泉駅舎店

明治44年築の駅舎を復元したこの店舗は、どこか異国情緒と、駅だけが持てる独特の旅情感が漂います。
2階席の窓辺に座り、温泉街の喧騒を眺める・・・旅を始めるのにも締めるのにもふさわしい場所です。鉄道にちなんだインテリアも楽しく、豪華な駅の待合室に座っている感じは旅の高揚感を高めてくれます。特に坊ちゃん列車の発車の時刻は駅員さんたちのおもてなしも相まってワクワクします。
青森 弘前公園前店

1917年築の「旧陸軍師団長官舎」をリノベーションしたリージョナルランドマーク店。もちろん桜の春に訪れるのも素敵ですが、雪深い冬に訪れるのは格別な体験です。メインのホールの窓の外には雪が積もり、東北に来た、という時間とともに過ごせます。日の光の加減で表情が変わるので、飽きません。

大きなテーブルには電源も完備しており、一日中いて仕事をしたくなるスターバックスです。弘前は遠くて行くの大変、と思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?(わたしもそうでした)思い切って、飛行機でビュンと快適にこの聖地スタバを訪れてみませんか?意外と快適であっという間の旅でした。スターバックス弘前公園前店に行くという目的だけで弘前を訪れてみてもいい”わざわざスタバ”の代表格です。
京都 二寧坂ヤサカ茶屋店

築100年を超える日本家屋。京都特有の「鰻の寝床」のような奥行きを抜け、2階へ。靴を脱いで畳に上がる席はもちろん一番人気。スタバがリージョナルランドマークストアを構築するようになったきっかけになった店舗で、RLSの中でも最高峰と言ってもいい、最強スターバックスです。
その代わり人気も高く、いつも人で溢れていますが、最も座れる確率が高い時間は朝8時10分です。コーヒーを啜りながら畳の感触に触れるとき、日本文化とシアトル文化が「質感」において融合する奇跡を感じます。一生に一度は行きたいスタバです。
2. 【水辺と抜け感】視線が「外」へ溶け出す、境界のない空間
水面がもたらす水平線は、店内の奥行きを視覚的に無限へと拡張します。コーヒーと水は相性抜群。コーヒーの匂いにつつまれながら水を眺めてゆっくりしましょう。
富山環水公園店

ガラス張りの店内から運河の水平線へ視線が抜けるとき、建物は公園の一部となり、あなたの思考もまた境界を失って広がっていきます。わざわざ行きたいスターバックスの草分け的存在です。
北海道 函館ベイサイド店

超人気観光エリア、赤レンガ地区にある函館ベイサイドにあるスターバックス。テラス席は函館の最高のカフェスポットです。夏の夕方は夕景が見える最強スポットと化します。いつまでもいたくなるその空気感にぜひ浸りましょう。わたしはここがよっぽど気に入ったらしく、滞在中に何度も訪れてしまいました。午後遅めは学生も多く、昼間とは別の雰囲気を楽しめます。

ぜひ夕暮れを堪能しに訪れてみてください。少し前から行って場所を確保することをお勧めします。
北海道 釧路鶴見橋店
観光地化されすぎていない、道東の「乾いた風」を感じる場所です。グッドデザイン賞も受賞している店舗設計はゆったりとしていて完璧で、ついつい長居したくなってしまいます。
テラスから見下ろす釧路川の流れは、どこまでも緩やかで雄大。木材の温もりが、北海道の厳しい自然と呼応し、都会のスタバでは絶対に味わえない「静寂の奥行き」を作り出しています。
3. 【都会の聖域】「余白」を買いに行く、都心の別格枠
このジャンルに分類されているわざわざスタバは、喧騒のど真ん中にありながら、視覚的な奥行きが思考を解放してくれる場所です。作業するというよりは、開放感を味わいに訪れてみてください。
新宿御苑店

新宿御苑店はリージョナルランドマークストア。環境省が管轄する新宿御苑店は環境に気を使いながら設計・建築するのが大変だったに違いありません。新宿という都心にありながら、豊かな自然に囲まれ、穏やかな時間が流れるこの店舗は、外国人観光客にも、とても人気です。私の鉄則は、「9:00の開園と同時に、500円の入園料を払って行く」こと。
昼間の混雑は、この店舗の価値を半分にしてしまいます。開園直後、池と芝生が作り出す圧倒的な「余白」を独占する贅沢。都会の真ん中でこれほどの「視覚的奥行き」を手に入れられる場所を、私は他に知りません。10時になるとほぼ満席になり、席の取り合いの空気が流れるので、必ず9時45分までに座ってください。一番の特等席はこの右奥の角です。
川越鐘つき通り店
小江戸の街並みを歩いているとたどりつく、オアシスのようなスターバックス。
長細い店内には、縁側のような席がたくさん作られており、その一番奥には、圧倒的な抜け感が広がるテラス席が広がります。

このスタバを起点に混雑回避の半日観光黄金ルートで、小江戸の街を食べ歩くのがおすすめです。
神奈川 横須賀コースカベイサイドストアーズ店

横須賀という街にありながら、駅から目の前にあるのに、さらに非日常の港に隣接しています。電車からおり、店舗に向かって階段を降りて行ったときに見える海の解放感は、忘れられない体験になります。ここでは、2階へ上がるのがおすすめ。テラス席に座れば、視界は遮るものなく海へと突き抜けます。

ダイレクトに感じるインダストリアルな港の質感と、海の青。この異質な組み合わせが、日常からあなたを最も遠い場所へ連れ出してくれます。
4. 【空間哲学】なぜ、私は「伊勢・太宰府・大阪城」をこのリストから外したのか
スターバックス愛好家の間で必ず名前が挙がるリージョナルランドマークストアの数々の店舗・・・例えば伊勢内宮店や、隈研吾デザインの太宰府店、大阪城などの店舗を、なぜ今回わざわざいきたいスタバ「デスティネーションスタバ10選」に入れなかったのか。そこには、300店舗を巡ったスタバ愛好家としての「奥行き」へのこだわりがあります。お店や空間はやはりある程度の奥行きがないと安心してくつろげないように人間はできています。
「現代の解釈」への違和感
太宰府天満宮表参道店や伊勢内宮前店は、確かに建築として素晴らしいものです。しかし、それらはあくまで「現代による伝統の再解釈」であり、今回挙げた仙巌園や道後温泉店、北野異人館のような「時が刻んだ本物の質感」とはベクトルが異なります。効率を重視したような作りが、落ち着かない気分にさせることを否めません。
「視線の行き止まり」と混雑のノイズ
例えば奈良の鴻ノ池運動公園店などは美しいですが、観光客の動線と空間の広さのバランスにより、視線が途中で「止まってしまう」感覚があります。
本当の「奥行き」とは、人の多さに邪魔されず、視線がどこまでも抜けていく物理的・精神的な余裕を指します。奥行きは抜け感を生みます。その抜け感こそが、くつろぎを生むのだと、300店舗超まわったわたしは確信しました。今回選んだ10店舗は、混雑時であってもその「格」を失わない強固な空間コンセプトを持っています。
結びに:スタバを巡る旅は、自分の中の「奥行き」を探す旅
ただコーヒーを飲むだけなら、どの店舗でもいい。コンビニでもいい。
しかし、私たちがわざわざ足を運ぶのは、その場所が持つ空間に震え、自分の中の感性をアップデートしたいからです。
今回紹介した10店舗は、私という人間を形作る一部となった、いわば「魂のデスティネーション」です。
次は、あなたが「本物の質感」に震える番です。
【著者プロフィール:YOKO ノマド起業家】
スターバックス全国2,100店舗中、300店舗(約15%)を走破。建築、歴史、音響、光の入り方からスタバを分析する空間オタク。効率を求める「神スタバ」だけでなく、人生を豊かにするわざわざ行きたいスターバックス「デスティネーションスタバ」の探求をライフワークとする。仕事するのに最適なロビーのあるホテルによく泊まっている。
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